2009年09月15日

福島智さんの世界

爆笑問題のニッポンの教養 「私は ここに いる」福島智(ふくしまさとし) 2009年6月9日放送を見て、大変ユニークな大学教授を知りました。

目も見えず、耳も聞こえない福島智さんは、2008年10月東大教授になりました。
研究者リスト スタッフ 東京大学 先端科学技術研究センター
福島さんは、指点字という通訳を使って、爆笑問題を相手に丁々発止のやり取りをします。指点字というのは、通訳者が障害者の指を点字タイプライターに見立てて打つ方法で、福島さんのお母様の発明です。

そのやり取りは、通訳のタイムラグを全く感じさせないもので、元気で楽しく、しかしときおり福島さんのゾッとするほどの深さが垣間見えるものでした。絶望=苦悩−意味という公式にはとても考えさせられました。意味がない苦悩が絶望だというのです。

福島さんの奥様の著書「指先で紡ぐ愛―グチもケンカもトキメキも」
どのようにして全もうろうの方と結婚することになったのか、どんな結婚生活なのか、何がつらかったのかが、素直に明るく爽やかに書かれていました。
マンガ版もあります。「指先で紡ぐ愛 (デザートコミックス)」

福島さんの著書はコテコテの関西人のノリでした。
「渡辺荘の宇宙人―指点字で交信する日々」
9歳で失明したときは、すんなりと受け入れられたが、18歳で耳が聞こえなくなったときは大きな苦痛だったとありました。

そして福島さんのお母様の著書を読んで、圧倒されました。
「さとしわかるか」


1歳のときから目の病気でつらい治療を続け、必死に努力したけれどもとうとう9歳で失明し、盲学校に転校する。もうここまででものすごく大変なわけです。それなのに、18歳で耳も聞こえなくなる。

智さんの耳が日々悪化する一方、夫婦も家庭も人生も終わりかもしれない、いっそう死のうと、お母様が夜毎しのび泣きしたときに、お父様が言った言葉がドシンときます。
お前、死にたいと思うとんのか。智と心中でもしようと思うとんのか。
それはやめてくれ。智はきっと迷惑なことや、というぞ。死にたけりゃ、お前一人で死ね。
智さんが「有名な作家はみな自殺しているなあ」と言ったときに、お母様は大きなショックを受け
落ち度も多いですが、こんな立派な人間を神が見捨てるはずがないと私も思います。親が言うのもおかしいですが、見習うべき点は多々あります。私もくじけず頑張ります。
と書いています。
・・・やがて智は悟ったように言った。
「本当の神があるのなら、苦しめてばかりもいない。僕をこのようにしたからには、何か大きな意味があって、僕に何かを託しておられるのではないかと思えてならない」
血のにじむような生きるための道を求める戦いの日々
これを読んで私の脳裏には、福島さんが爆笑問題に語った絶望=苦悩−意味という公式が、鮮やかに浮かんできました。この公式には福島さんの命がかかっているのだと。

どん底の中でお母様がせっぱつまったときにふと思いついた指点字。そのとき福島さんは「また、おふくろが変なことやりよるな」くらいにしか思わなかったけれども、盲学校に復帰したときに、指点字で友人たちとコミュニュケーションできることを知って、笑顔が戻る。
智はもう、一人ぼっちではない。多くの仲間がいる。極限状況の中でも、智には粘り強さと冷静さ、それにほっと息抜きするようなユーモアの心がある。
智の将来はさぞ苦労が多いことだろう。しかし苦労をバネにできる智の底力を私は信じていよう。これからの智には、輝く未来への挑戦が待っている。
と終わるのです。

その結果が東大教授。全盲ろう者が常勤の大学教授というのは、世界でも例がないそうです。

爆笑問題とのやり取りは、実に積極的前向きで活発。でも福島さんの収録の感想を読むと、当日は不調で「頭も回らず、舌もなめらかでなかった。」とあります。あれで不調だったなんてあきれました。もし体調がよくて「私がエンジン全開にすれば、(爆笑問題との)相乗効果で収拾のつかないことになっていただろう。」からちょうどよかったなんて言ってます。福島さんはものすごく頭の切れる人で、しかもやんちゃ坊主らしいです。

そんな人がこの国のトップとされる大学の教授であることを、とても嬉しく誇らしく思います。福島さんの今後のさらなる活躍を期待しています。

そして「ゆびさきの宇宙―福島智・盲ろうを生きて」は重厚な内容でした。
ジャーナリストの取材した福島さんの姿、歴史です。
深くつっこんだ取材で、福島さんとご家族自身が本で語らなかったさまざまなことがわかります。

立岩真也さんの紹介「福島智さんのこと――知ってることは力になる・19」
福島智さんのスピーチ 東京大学平成19年度入学式(学部)祝辞
posted by jun at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビと本から@ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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