2006年12月14日

服部さんが銀行員になったわけ

湘南信金に興味を持ったので、読んでみました。先日のSHOUNAN DAN CONCERTで理事長服部真司さんのちょいとしたスピーチが良かったし、コンサートも楽しかったので、もっと湘南信金について知りたいと思ったからです。



湘南からの熱い風

本の中でとても印象に残ったのは、服部さんが湘南信金に入った訳です。なんと銀行の人質だったのです。昔の銀行って、こんなことをしたのかと驚きました。まるでヤクザみたいです。

服部さんは昭和8年生まれ。湘南信金の前身の横須賀信金だった時代。大学4年生で商社に入社することが内定していたときに、実家の家屋と敷地を競売にかけるか、服部さんが横須賀信金に就職するかどちらかと迫られて、やむなく横須賀信金に入ったというのです。給料から天引きで借金を返済することになったわけです。

服部さんは
私は借金のカタにとられたんです。人質というべきでしょうか。当時、信用金庫は私の敵だと思いました。なんとかして見返してやりたいと思いました。
と言っています。よくぞここで負けずにめげずに奮闘して、銀行TOPにまでなってしまったと、ビックリしました。スゴイ人です。まるで物語みたいですが、これが人生というものなんですね。

そんな借金を背負ってしまったわけというのが、時代だったとでもいうのでしょうか。実家が時計屋をやっていて、店の隣がアメリカ兵相手のキャバレーだった。そのキャバレーが火災になって、時計屋は焼けはしなかったけれど、水浸しになった。店の商品がダメになり、委託品は弁償しなければならなくて、その借金の利息も返せなくなった、というのです。火災は失火ということにされたけれども、服部さんは朝鮮動乱が終わった後の不景気で、憂さ晴らしの放火だったと思っています。

本のはじめに、
服部氏には、いま世間の経営者が失ってしまった「元気」がある。不屈の闘志で、信用金庫を牽引する気力と力量がある。しかし、最も注目すべきは、彼の経営理念だ。
とあります。人質からスタートした銀行員という服部さんが、激しい闘志を持ってそのマイナススタートを克服し、一信用金庫の理事長とは思えないほどの壮大なスケールをもった経営者になっていったことに、畏敬の念を持ちました。

服部さんは学生時代、愚連隊のようで、ヤクザに目をつけられて殴られたりしながら、音楽会やダンスパーティを開いて金儲けをしていて、その経験が財産になったそうです。それが横須賀信金の人質として働いて、頭角を現すパワーにもなったようです。実に面白いと思いました。服部さん、幼稚園のときはぜん息もちの虚弱体質で、毎日泣いている「どうにもならない子」だったそうです。


最近服部さんが本を出したので、これも是非読みたいです。


湘南の獅子



服部理事長の意見陳述 衆議院経済産業委員会−平成13年11月6日

「中小企業問題について」 以下衆議院議事録より

御紹介をいただきました服部でございます。
 まず、参考資料を見ていただきながら、自己紹介をしていきたいと思います。
 私の湘南信用金庫は、大正十三年三月の設立でございまして、平成元年に鎌倉信用金庫と横須賀信用金庫が合併をいたしまして、湘南信用金庫に相なっております。平成三年、茅ケ崎信用金庫を合併、平成六年、東京大和信用組合を合併、そして、来年の一月でございますけれども、神奈川県青果信用組合の破綻に伴いまして事業譲渡を受ける、こういうようなスケジュールになっている信用金庫でございます。

 本店は横須賀にございます。そして、現在の店舗数は六十、法人代理店が二つということで、六十二の支店を構えております。従業員は九百五十九名でございます。
 預金量がちょうど九千億円、貸し出しが六千五百九十億円、預金と貸し出しのバランス、預貸率が七三%というところであります。全国に信用金庫が三百六十九ありますけれども、預金量の規模では二十番目に属するところであります。
 こんなようなところを自己紹介させていただきまして、これから申し上げたいと思います。

 皆さんのお手元に、参考資料二といたしまして「SHONAN景況リポート」という冊子が行っております。これはお時間があるときにごらんをいただきたいと思いますが、これについてまず申し上げてみたいと思っております。

 この景況リポートというのは、営業地域の中小企業、零細企業六百社余りを対象にいたしまして、各店舗長、支店長が直接企業主に面談いたしまして業況を聴取して、二カ月ごとに一回お客様に配布をしております。お客様だけじゃありませんで、監督官庁を初めとして、日本銀行その他主要な役所、あるいはマスコミにもこれをお配りしております。
 簡単に言いますと、不動産業あるいは製造業に多少の明るさが見えてきているという結果が私のところの調査では出ておりますが、建設、卸、小売業、サービス業は大きく落ち込んでおりまして、全体的にはじり貧でございます。

 特に、今回の米国同時多発テロあるいは狂牛病、こんなところから、小売業あるいは卸売業、肉屋さん、焼き肉屋さん、こういうところはもう八〇%も売り上げが減、こういう状況でございまして、いわゆる町じゅうに不満が噴出をしている、こんなようなところであります。
 これを見ていただきまして、中小零細企業の実態を肌で感じていただければありがたいと思っております。

 日本銀行や経済産業省の景気動向調査というのは、大変遅うございます。三カ月、四カ月後に出てくるという状況であります。特に、中小だけじゃありません、零細企業に対する動向調査というのはほとんど反映されていないというところでありまして、大企業を中心とした景気動向調査、これだけで政治家の皆様が御判断するのは非常に難しい、こういうふうに思っておりますので、どうぞその辺を御承知おきいただきまして、必要であれば私の方からお送りをいたして、実体経済あるいは中小零細のところをごらんいただければありがたいと思っております。

 順番といたしまして、貸し渋りとか貸しはがしがあるかどうか、こういうことからちょっと触れていってみたいと思っております。
 新しくできました大きな銀行でありますが、割賦弁済をいきなり期日一時決済に変更し、承知をしなければRCC行きだ、こういうことで、貸し渋りどころの騒ぎじゃありませんで、貸しはがしというのが多数見受けられるようになっております。それから、都市銀行等の統合、合併によりまして、複数取引をしている中小企業が選別に遭いまして資金調達困難に陥っているということは、皆さんも御承知のとおりだと思います。そんなところから、最後には、私ども地域金融機関のところに頼ってくるというお客様が非常に目についているところであります。

 倒産に至った例を一つ二つ挙げてみたいと思います。
 月末に資金決済をするために、手形の決済をするために送金した銀行がこれを返済に充ててしまいまして、いわゆる不渡りを出す、こういう状況で倒産に至ったという例が三つも四つもあります。決済資金だというのに返済に充ててしまう、こういうことで、何しろ無理やりに破綻に導いていかれてしまったというところが多々あります。
 それから、産業廃棄物業者で、ダイオキシン排出規制に対応するため融資相談をいたしましたけれども、断られたということから、これが調達できず廃業に至るというようなところもあります。今、ダイオキシン問題が大きく取り上げられて、社会問題であるにもかかわらず、そのような実態が出ております。

 それから、保証協会の保証の役割がなくなってしまったというところに、皆様御注目をいただきたいと思います。
 中小企業安定化特別資金といたしまして、平成十年十月にこれができ上がりましたけれども、しかしながら、最近の保証協会の保証というのは、いわゆる担保に重点を置いてまいりまして、担保がなければ貸さない、あるいは、今までの返済に当たって条件を変更してほしいという申し出がありましたら、次回からは資金の調達は保証協会を通じては一切できない、こういう状況であります。

 そもそも、保証協会というのは、担保不足の人もどうにかしてやりたい、こういうことから始まったことでありますし、それから、中小企業安定化特別資金というのも、この際一気に苦難を乗り切っていかなければならないということからでき上がったにもかかわらず、最近では担保重点主義、それから時間は三カ月もかかるようになってしまった、こんなような状況であります。これはお察しすれば、相次いで保証協会のいわゆる保証の先が不振に陥ってしまっておって、保証協会が苦況に立ち至っているということは間違いないと思いますが、そんなところであります。
 その結果として、金融機関はどういうふうにしていくかということであります。

 まず、金融機関の行う行動を幾つか分けてみますると、最大の原因は自己資本比率一辺倒の、いわゆるアメリカの物まねをしたグローバルスタンダードの金融行政にあるということであります。何しろ自己資本を改善するのには資産を圧縮しなければなりません。それにはどうしたらいいかといったらば、金を貸さないことであるということでありまして、徹底して今の状況は金を貸さない指導が行われている、こういうふうにみなしてよかろうかと思います。お客様の心理からしますると、借入金の返済ができないのは当たり前だということで返済しないという、責任感がお客様の中になくなってきつつある、こういうことであります。

 また、きょうここにいらっしゃいますが、弁護士等の指導でいわゆる自己破産の勧め、そして、それで飯を食っている弁護士が相当の数に上がってきてしまっている、こういう状況は皆様も御承知のとおりだと思いますが、そのようになっております。十両で首が飛ぶという時代が江戸時代にあったわけですが、今は堂々と借金を返済しないで威張っているというのが多く見受けられるようになって非常に残念であります。

 きょうの日経新聞をごらんいただいているとおりでありますが、余裕資金は我々金融機関にたくさんあります。当信用金庫も三千億円以上の金が余っておりますが、これは外債購入に走ってしまっているということであります。

 次に、需要がないわけではないのであります。需要が旺盛な先はたくさんあります。特別養護老人ホームとか、福祉関係、ケアサービス、デイサービス、保育、産業廃棄物、リサイクル、駅前マンション、こんなものがたくさんあるのですけれども、これにほとんどの金融機関が貸さないということであり、今金融機関から金が借りられるところはまず珍しいと言ってもいいかと思います。

 一つ申し上げます。産業廃棄物のプラント法ができ上がりました。当金庫で四十五億円の資金を投入いたしまして、開業を十日前にいたしました。開業を見届けてから中小企業金融公庫が金を貸すと言ってきたということでありまして、そこまでいって開業ができたら何の心配もないわけでありますが、政府系金融機関が必要がないというのはそんなところにもあるのではなかろうかと思います。

 もう一つは、時価会計であります。今なぜこんな時期に時価会計をするのかということであります。不良債権は金融機関の経営者の責任でありますが、これはかなり進んで整理ができております、大きな銀行は別といたしまして。しかしながら、自己資本比率が下がると、時価会計というのは有価証券の値下がりに大きな影響を受けているということで、こんな非常時にやられたら大変であるということであります。

 もう一つは、ペイオフ解禁についてであります。きょうも日経新聞にペイオフ延期という記事と、それから絶対に死守するという記事と両方出ておりますが、ペイオフというのはどういうことかといったらば、これは預金が流出をしてしまうわけであります。

 いわゆる郵便局の預け入れについて問題があります。これは何かといったら、その他のただし書きがありまして、郵便貯金法では法人団体無制限になっております。国、地方公共団体、信用保証協会、宗教法人、学校法人、社団法人、財団法人、社会福祉法人、商工会議所、国家公務員共済組合、健康保険組合、厚生年金等々二百の団体の預金は、一千万円を超えてもペイオフの対象にならない、こういう不公平な状態にあって、そして民間金融機関だけペイオフを来年の四月一日から実施するということは、これはいわゆる自爆に等しい、こんなふうに思います。ぜひ、この辺については一考をお願いいたしたい、こんなふうに思っております。

 時価会計をこの際やるというのも、これまたおかしな話であります。よくなってから、あるいは二年後、三年後、いわゆる完全に不良債権の処理ができた時点でいわゆる時価会計、それから、それに伴いまして土地の税制、それから有価証券取引に関する諸税制、これを改正してから時価会計に突入すべきだと思っております。

 時間がありませんので、最後に申し上げます。
 当信用金庫を初めとしまして、中小零細専門金融機関、こういうところは、貸し出し当初から要注意債権の先であります。金融検査は、ソニーとかホンダとかと中小零細企業も同じスタンスでこの検査をしていくということであります。預金がこのところ若干減りつつあります。当信用金庫は九千億円の預金がありますが、仮にペイオフを実施されますると、公金、団体預金等が減りまして、来年の三月末では約四百億円の預金が減少するという予測に立ってシミュレーションを行い、そして今それの対応を進めているところであります。

 最後に申し上げます。当信用金庫は、住宅ローンを二・五%、三十五年、いわゆる固定金利で実施をいたしました。合計二百億円を限度としているのでありますが、ほとんどなくなりました。これはどういうことかといったら、住宅金融公庫がこの世の中からなくなると、小泉総理大臣がそんなようなことを発言しているのを先取りした形であります。しかしながら、お客様は、この住宅ローンに殺到している、こういうような現状を申し上げます。
 そして最後は、役割、人格の働きということで私は一生懸命やっていきたいと思います。万が一には、自分の地位や命を犠牲にしてもお客様や従業員を守る、こういう姿勢を貫いて今日の経営に当たっていることを皆様に申し上げまして、時間が参りました、終わりたいと思います。
 
posted by jun at 06:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 本からA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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