2005年09月25日

建築家 清家清 展

建築家 清家清 展 に行ってきました。松下電工汐留ミュージアムです。2005年4月8日、清家清(せいけきよし)さん(1918生れ)が亡くなりました。大好きな方だったので、とても淋しく思いました。でも、ハイセンスな清家清さんの建築物が身近にあるので、見るたびに「これも清家清!」「あれも清家清!」と思えるのはとってもステキなことです。横浜では八景島シーパラダイスがきれいです。

清家清さんのことを知ったのは、放送大学で建築学を学んだときでした。放送で勉強する大学ですからお会いしたことはありませんが、その柔らかな笑顔と、暖かな語り口、そして機能的で美しい建築にすっかり魅了されました。

今回の展示で「私の家」の原寸大があるというので、これを逃したらもうないゾと、最終日に出かけました。「私の家」はとても変わった建築です。空間を仕切らず、家具も用途を限定しない、極め付きのワンルームで、ドアも柱もありません。トイレにさえドアがないというのですから、いったいどうなっているのだろうとずっと気になっていました。わざわざ原寸大の展示ということは、私のように興味を持っている人がたくさんいたのでしょう。

「私の家」は清家清さんの両親のために作った家だそうですが、そんなヘンな家には住めないというので、清家清さんが住んだそうです。

原寸大の模型の中に入って見て来ました。やはりトイレにドアはありませんでした。カーテンもない。台所は思っていたよりだいぶ小さいし、子供4人育てるには、ずいぶん小さな家です。でもまあ、50年前の建築ですし、私も育った家は6畳一間でしたし。モンゴルの移動式の住居ゲルをちょっと便利にしたようなものかもしれません。明るくて、家族との一体感がいつもあって、自然を満喫できる暖かな家でした。

ダバダーで始まるネスカフェ・ゴールドブレンドのCM(1976)に出演していたときに「建物と自然の調和」とナレーションがありましたが、清家清さんはもう一つ、「建物と人間の調和」も大きいと思います。とても家族を大切にする人だったのでオープンなワンルームの家を好んだのです。

でも、家族にはストレスがあったようで、長男の清家篤さんの話が紹介されてるブログを見つけました。「篤氏は静かに勉強することもできず、編集者などの来客があると夜遅くまで眠れないなどフラストレーションがたまった。」やはりそうだったのかと納得です。是非奥様の本音も、聞いてみたいものでした。その後、「私の家」はさすがに手狭になって、「続私の家」に移り、清家篤さんはストレスから解放されたそうです。

清家清さんは人間工学の先駆けと言われていて、実際にいろいろ模型を作って実験して、適切なお風呂の大きさやらキッチンのシンクの高さやらさまざまな研究をしたのですが、その中にドアの研究があって、いかにドアが動線を乱しているかがわかったそうです。それでドア嫌いになったそうです。

家とはなんぞや、ドアとはなんぞや、と本気で考えてそのままに実行してしまう自由さ、それを受け入れた家族、なんとも愉快です。

「家というのは完成しないでしょうね」と語ったビデオ、面白かったです。自宅は改造の繰り返しだったそうで、それも家族に相談せずいきなり始まってしまう。娘さんが学校から帰ってくると台所が外になっていて、工事してたとか。それは家族にとっては、とんでもない迷惑な話だと思うのですが、家族は面白がっているのです。

晩年、「倅の家」(清家篤さんの家)と、「続私の家」(奥さんが亡くなって一人住まいになった清家清さんの家)を、つなげようと突然工事が始まってしまったときの、家族の様子を写したビデオがありましたが、やはり清家篤さんの子供たちが、家の中に出現した青いシートの向こうを覗き込んだりして、ルンルンとはしゃいでました。

面白い家族ですね。普通だったら、奇人変人の困ったオヤジなのかもしれませんが、家族みんなで、面白がって、楽しんで、許しあっているのです。何度も大家族が集まって、庭でパーティをしている場面が写されていましたが、これが清家清さんの愛し愛された家族なんだなあととても暖かな気持ちになりました。

展示物の中に愛用品が数点あったのですが、その中に使い込んだ賛美歌がありました。123番と124番のページが開かれていたのですが、どちらかが愛唱賛美歌だったのでしょうか。葬儀は青山斎場でキリスト教式だったそうです。
posted by jun at 19:35| Comment(1) | TrackBack(2) | お出かけ@ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
清家先生が亡くなられて10年が過ぎようとしています。私は先生の弟子の末席を穢した一人です。
昔を忍んで関連記事をネットで探しているうちに、貴女のページに行き当たりました。
大変心温まる、優れた文章を読ませていただき、ありがとうございました。

Posted by 奥井正雄 at 2015年02月02日 09:31
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